Life in Berlin

ベルリンに来てから早いもので半年が経った。

この記事では主に手続きと日常の暮らしに関して書き、せっかくなので、歴史や社会的な背景などについても色々と調べて記載することを試みた(そのほうが面白いよね)。思っていたよりも長くなりそうなので、文化編に関しては別記事になると思う。

テンペルホフ公園、10月。筆者撮影

手続き編

さて、なぜこの項目が何をさておいても一番上に来ているかといえば、ベルリンに住むことになった場合に一番最初に手をつけるべき問題だからである。ベルリン生活情報に関して、最も頻繁に目にする情報の一つがこの家探し問題で、「ベルリンでの家探しは大変」「物件が見つからない」「早めに探した方が良い」。

背景には、需要が増えている一方で、家賃上限法によって価格が比較的安く抑えられ、それが間接的な影響となって供給(新しい住居)が増えないことが挙げられる。

需要 — — 人口増加に関して。ベルリンは人口約370万人(東京は1400万人)で、そのうち20%以上が出生国がドイツ以外という移民都市である。45歳以下が55%、人口増加しており、また文化面等でも人気が高いため若者を中心に人口流入が多い。

日本から来た場合には、余計に街の若さの活気を感じると思う。移民の多さにより基本的に英語が通じると思ってもらって問題ない。食事もかなり多様でアジアンマーケットもすぐに見つかる。ただ、意外と日本人は多くないようで、3ヶ月住んでいて他の日本人を見かけたのは2回だけだった。

ちなみに移民の中ではトルコ系が最も多いのだがこれには理由があり、トルコ系移民はドイツにおいて優遇されている。行政手続きの金額もトルコ国民は安いようだし、ファストトラック的なものもある。元々トルコとドイツの関係はWW Iの時から良好だったのが今でも続いているようだ(その割に、メルケル前首相はトルコのEU加盟に関して消極的姿勢だった)。街中では頻繁にケバブ屋に出会うことになる。美味いケバブ屋は食事情編の記事で紹介したい。

価格と供給 — — ベルリンには2021年まで家賃上限法が存在した(Berlin Rent Cap Act)。「存在した」という理由は、これが連邦憲法裁(最高裁)によって違憲だと判定されたためである。

家賃上限法は住む側にとってはありがたいが、投資する側にとっては魅力のない話であり、新しいアパートが増えないなどの問題も指摘されていた。自分も上限法はない方が良いと思う。(借りる側としては、あったほうがもちろんありがたい。)これによって2020年まで新しいアパートが増えにくかったことも、家探しが難航する理由だと思われる。

家賃事情

下記のリンクによれば、ベルリンの賃貸の平均家賃は19.75 EUR/m²(日本円でおよそ2500円)。もちろん中心地区や人気地区になれば家賃は上昇する。一方で東京23区は、データにもよるが、おおよそ3500円〜4000円/m²。より詳しい地区別の家賃も下記で調べることができる。

自分の物件はかなりアクセスが良い部類に入り(ベルリンと東京の場所を無理やり比べるならば、新宿駅徒歩3分といったところだろうか)、35m²でおおよそ光熱費込みで8万円。安い。東京だと一人暮らしの場合おおよそ30m²以下の物件に住むことになることも考えると、広いし安い。

Berlin is cheap and sexy. というフレーズを推していきたい。

家探し

肝心の探し方。日本のような不動産仲介業者はほとんどなく(一応あるが手数料が乗って高い上に対応も良くないらしい)、大家、あるいは現在の借主との個人個人の直接契約が一般的で、又貸しもよくある。最終的には個人間で契約書を交わす。家主と借主を結ぶプラットフォームやサイトが複数存在し、代表的なものとしては、

  • WG Gesucht
  • ImmoScount24
  • facebook group
  • 他に、日本語の掲示板サイトもある。

自分の場合はこれらのサイトで、大体2ヶ月くらい前に探し始めた。おそらく時期によって差があるが、体感おおよそ1ヶ月半くらい前から物件がサイトに上がってくる(そして一瞬で売れていく)。2ヶ月前に探すと若干早く、掲載される物件は少ないが、その状態の方が相場観などは掴みやすいし、競争相手も少ない。また、月初、15日前後、月末に物件が掲載されやすいらしい。

マッチングしたら、メッセージ(ドイツ語で送った方が返信率は高い)や写真でやり取りをする。内見は現地あるいはオンライン(WhatsApp)で可能なので、ドイツ語が話せればドイツ語で。自分は話せなかったので英語でできる家主を探した。家主とは、住んでいる間も頻繁に連絡を取り合うことになるので、人としての判断もした方が良い。もちろんこちら側も相手から判断される。

契約書は個人間でのものなので、きちんと読み込むこと。例えばこういうフォーマットのものがある。どれほど細かく書いてくるかも一つの判断基準になるだろう。

最終的には、「じゃあ契約書明日送るから、明後日までにサインできる?」くらいのスケジュールでことが進む。オンライン内見から契約書まで3–4日くらいで話が運ぶので、決める場合にはその時点で(良い物件が後で出てくるかどうかわからない中で=秘書問題)決めなければならない。意外と良い物件も後から出てくるので、焦りすぎは良くない。

ぶっちゃけほぼ運だが、コツがあるとするならば、最初しばらくは相場観を掴むために、契約せず流し見する期間がある方が良い。流し見の期間で、自分の求める物件条件、判断の根拠を明確にする。また、万が一あとでメチャクチャ良い物件が出てきた場合にキャンセルして乗り換えられるような契約を狡猾に設定できると素晴らしい。

治安

めちゃくちゃ良い。もちろん危なそうな雰囲気の地区では自衛が必要。若者や移民が多いので、大麻の匂いにはよく遭遇する。

携帯電話

ここからは現地に到着してからの話になる。こういったときに一つ大事にするべきなのは、”依存する手続きをなるべく減らすこと”だ。移民手続きには住民登録が必要で、住民登録には銀行口座開設が必要で、銀行口座開設にはXXが必要で・・・などという無限の依存関係が簡単に発生してしまい、人によってはデッドロックになってしまう。可能な限りそれが不要な方法で進めるとストレスなく手続きを進められるだろう。

携帯電話は、何も依存関係なく使用開始できるものの1つである。Dual SIM対応のスマートフォンが素晴らしい。これによって日本の携帯回線を持ち運んだままでこちらの回線にも接続できる。iPhoneの場合には12以降が対応している。一時帰国時にいちいちSIMカードを差し替えたり、また2段階認証で日本の番号でSMSを受信したい場合にもそのままできるのがとても快適である。

現地の携帯電話会社(キャリア)に関してだが、まずは電波で考えると良いだろう。ドイツの中でも地域によってどのキャリアが強いかが異なる。(こういうサイトで調べることができる。)そのキャリアを使えるSIMカードを、大体スーパーマーケットが販売している。例えばLidl connectを使用している。おおよそ4週間3GBで8€くらいが一般的な価格。

最初はスーパーでSIMカードを購入し、アクティベートする。あとはサイトからPaypal等を使用してチャージできるので、4週間ごとにPaypalで支払えばよい。これらの手続きには現地の銀行口座もパスポートも不要である(後から、銀行口座引き落としにも設定変更できる)。

App Storeの国設定問題

少し話が逸れるが、ドイツだけではないが、海外移住で地味に嫌なのはこのApple Storeの国設定問題。iPhoneを使用している場合、Apple Storeの国は日本になっているだろう。しかし、Apple storeの国を変更してしまうと、これまで購入した音楽やアプリが見られなくなってしまう。また、日本でしか使えないアプリが使用できなくなる。

自分の対処は、ドイツのApple Storeでしか使えないようなアプリは使っていない。大抵の場合、アプリと同等のウェブアプリが存在する。上記LidlのチャージもiPhoneアプリとウェブアプリがある。EU全域で使用されうるようなアプリ(後述するコロナ関連アプリなど)は大抵、日本のままでもインストールが可能である。逆に、ドイツでしか使えないアプリを提供しているサービスは避けて、競合他社のものを探したりする。

銀行口座

銀行口座の作成は、住民登録に依存する銀行としない銀行がある。住民登録には時間がかかるので、依存しない銀行で生活を始めたい。

他に特段の理由がない限り、N26一択になるだろう。日本人の場合、パスポートだけあれば口座作成が可能であるようだ(欧州に居住していることを厳密には確認できないので、それでいいのか?感はある)。ちなみにN26はベルリン発のFinTechユニコーン企業である。銀行によっては、過去の口座の履歴を要求されることもある。EU居住が初めての場合にはこれは手に入らないので、要求されない銀行でしか口座を作ることができない。

他にINGという会社もあるが、サポート含め微妙だったので最初はN26が良いだろう。また、N26である程度口座の信用履歴が溜まったら、他のドイツの銀行で別の口座を作るという手もある。

住民登録、滞在許可

住民登録は多く手続きの依存元になりうるので優先度を高めにやっておきたい。入国から90日以上かけてしまうと不法滞在になってしまうという側面もある。

これは他の多くの記事でも見つけることができるが、ベルリンの市役所は予約が取れないことで非常に有名である。特に住民登録は人気アイドルのライブかのごとく予約ができない。インターネットで予約を試みると(予約可能対象の)二ヶ月先まで全て埋まっているなどということもある。

基本的に裏道的な攻略はなく、地道に予約を取るしかない。ポイントになるのは2つ:

  • 電話で予約をとる。 030–115 から予約を取ることができる。朝7時か8時にかけると予約が一番取りやすい。
  • インターネット経由。毎週月曜水曜金曜の朝や午後一番にキャンセル枠が解放されることが多いらしい。
  • その他にも、Telegramを使用する方法などがあるようだ。

こういった謎のハックがあるというのも、ベルリンの行政手続きがうまく機能していないということの結果である。

コロナウイルス対応

EU以外でコロナワクチンを接種した場合、EUで有効なGreenpassを取得する必要がある。日本のワクチン接種証明書はApothekeでドイツ対応のものに変更することができる(自分はAlexanderplatz駅前のApothekeで変換した)。変換することでもらえるのは紙媒体で、そこに接種ワクチンや名前等と一緒にQRコードが印刷されている。

このQRコードは、Lucaというスマートフォンアプリで読み込むことができる。またフランスの場合AntiCovidという名前のアプリがあり、フランス国民でなくてもインストールできる。これらのアプリで読み込むQRコードはEU内で互換性があるので、最初に手に入れた印刷されたQRコードを国ごとのアプリに読み込ませることで提示できるようにしておくのが良い。

書き始めてから随分と時間が経ってしまったので、後編に続くことにして、ここで一度投稿することにする。ベルリンの文化に関してもっと詳しく書きたい。

--

--